お知らせ

『経営者の四季』に弊社の取り組みが掲載されました!

 広告用の看板やLEDビジョン、デジタルサイネージといった情報伝達機器を製造する弊社は、昨年、アクリルパーテーションなど新型コロナ感染対策製品を開発・販売し、大きく成長しました。
弊社が日頃からどのようにして社内外の情報を収集し、どのような考えに基づき意思決定しているのか等について紹介していただけました。

月刊誌『経営者の四季』とは
 『経営者の四季』は、当事務所が提供する経営情報誌です。独自の技術やサービスで差別化を図っている企業や、低迷する業界の中で成長を続けている企業の事例など、中小企業経営者の課題解決につながる「経営のヒント」を分かりやすく紹介しています。

以下 記事同文

「顧客の声が新分野進出の契機にコロナ禍を飛躍のチャンスに変える」

看板やLEDビジョンといった機器を製造販売する(株)タテイシ広美社は、新型コロナウイルスの問題発生と同時に新型コロナ対策関連製品の開発に着手し、大きく売り上げを伸ばした。同社が迅速に行動できたのは、従前から顧客の声をもとに製品開発を行うという社風が確立されていたからだ。

顧客のニーズに基づいた製品開発が基本

 コロナ禍で経営に打撃を受けた中小企業は数知れないが、その一方で経営環境の激変をきっかけに大きく飛躍した企業もある。そうした企業の一つが広島県府中市にある(株)タテイシ広美社だ。同社は広告用の看板やLEDビジョン、デジタルサイネージなどの情報伝達機器を製造販売しているが、新型コロナが発生するといち早く感染防止製品の分野に参入し、過去最高の売上をあげた。

「中小企業の場合『当社が作れるもの(できること)はこれなので買ってください』というプロダクト・アウトの発想をしがちですが、当社は先代の頃から、お客様の声を聞き、ニーズを見定めた上で製品を開発するマーケット・インの考え方を重視しています。新型コロナ関連製品を迅速に開発できたのも、こうした社風があったからです」

 こう語るのは2代目の立石良典社長。顧客のニーズに応え続けることで同社への信頼が生まれ、新製品を出した時にはすぐに購入してもらえるという。実際には2020年3月に感染防止用のアクリルパーテーションを開発し、その後次々と新型コロナ対策関連製品の売上を伸ばしてきた。

「街の看板屋」から「情報伝達業」に

 同社1977年、絵を描くのが好きだった現会長の立石克昭氏が看板屋として創業した。当初は店舗などの広告用看板をペンキの手書きで作っていたが、転機となったのがPCの普及だった。1988年、文字が印刷された厚紙やパネルを切断できる「コンピューターカッティングマシン」が開発されるとすぐに導入。時代の変化を感じた克昭氏は「PCの操作は女性のほうが得意。今後製造は女性社員に任せ、自分は市場調査や顧客の声の収集をしよう」と役割分担を変えた。その結果受注が伸びて社員も増加し、業容が拡大していった。

 克昭氏の娘婿である良典社長が同社に入社したのは2013年。大学卒業後は鉄鋼メーカーで経理を経験し、その後印刷会社に転職。会社を継ぐ気持ちはなかったというが、克昭氏から電光掲示板の販売に進出した経緯を聞き、中小企業経営の面白さに気づいた。

「最初は既製品の電光掲示板を仕入れて売るだけだったのですが、顧客から細かい要望をメーカーに伝えても対応してもらえず『だったら自分で作れば喜ばれる』と先代は考えたそうです。看板屋という垣根を超え、『情報伝達業』として顧客の声から製品を作っていく面白さを感じました」

完全オーダーメイドパーテーションを2日で納品

 立石社長が営業部長として入社した時の同社の売上高は4億円弱だったが、メッシュLEDビジョン(建物の内側から屋外を見られる透過性ビジョン)やデジタルサイネージなど先端技術を活かした製品を次々に開発し、2016年には10億円の壁を突破。翌2017年に社長に就任した立石社長を、昨年コロナ禍が襲った。デジタル分野製品の需要が激減し、当初は政府の補助金でしのぐことも考えた立石社長だったが、取引先から「飛沫を遮るアクリルパーテーションを作ってほしい」と依頼されたことが転機となる。

 「最初は『情報伝達業』である当社が作る必要があるのか迷いましたが、社員から『人と人との直接のコミュニケーションも情報伝達に役立ちます』と言われて確かにそうだと考え直しました。すぐに試作品を作って客先に持参し、何度も意見交換しながら完成品を作りました」

 顧客のニーズに完璧に対応するためには完全オーダーメイドしかない。

 そこで立石社長は「サイズの確認」「レーザー加工機の設定のための設計図作成」など、必要な工程とそれを妨げるボトルネックを一つひとつ排除することで、最終的には注文から2日間という超短納期でオーダーメードパーテーションを出荷する仕込みを構築した。

 「競合に圧倒的に勝つことが経営者のロマン。例えば他社が納品まで20日かかるなら当社は2日。圧倒的な差をつければ、市場動向の変化など些細な要因では逆転されることはありません」

 その後も「扉開閉用足ハンドル」や「高速自動検温システム」などの関連製品を圧倒的なスピードで開発した結果、売上は12億円に達した。

「おかしいと思ったらさわぐ」を社内ルールに

 同社には「おかしいと思ったら30分以内にさわぐ」というユニークなルールがある。例えば部品の重さを量り基準値から数グラムずれていたら、周りの人に知らせて部品自体の異常なのか梱包材などによる誤差なのか確かめる。疑問の大部分は問題ないものだが、ごくまれに重大なミスを発見することもあるからだ。

 立石社長自身も毎日スマートフォンで業績をチェックし、異常値があればすぐに経理担当者や会計事務所に原因を確認しているという。

 今後の抱負は、社員の働きやすさの向上と語る立石社長。「幸せに生活できていればどんどん良いアイデアが出てきます。社員が仕事を通じて成長できる会社になっていきたいですね」