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『総合報道』2021年7月15日号~女性・UIターン雇用を推進~

以下 記事同文

女性・UIターン雇用を推進
(株)タテイシ広美社 代表取締役社長 立石良典氏

 「街の看板屋でなく、〝情報伝達業″として顧客ニーズに応える製品を開発する」-。(株)タテイシ広美社(広島県府中市)代表取締役社長・立石良典氏が掲げる経営哲学だ。

 同社は1977年、絵を描くのが好きだった義父・克昭氏(現会長)が屋内外の看板製作で創業。94年にLED電光表示器、2013年に電子ペーパーを自社開発するなど最新技術を用いた新商品開発を積極的に進めている。

 克昭氏の娘婿にあたる良典氏は大学を卒業し、日本鋼管(現JFEホールディングス)、凸版印刷に勤めた後、13年、タテイシ広美社に入社した。「凸版印刷で中国・上海に駐在、上海凸版広告という会社でデザイン・ディスプレイの業務に携わりました。中小規模での仕事の面白さを体感、妻の家業であるタテイシ広美社の経営に興味を持ち、また新分野に挑戦し続ける社風にも共感しました」。

 同社入社後、16年に常務取締役、17年の創業40周年で2代目社長に就く。「会長には代表交代にあたり、2つの目標を達成したら事業継承させてほしいと打診しました。これは新しい事業領域を立ち上げて拡大すること。そして、社員や協力会社を大切にし、地域貢献を考えた経営姿勢を提示することです。単に売り上げ、利益拡大だけでなく、社員があってこその会社だからです。コロナ禍でも会社が堅調なのは、先代から積極的な製品開発を行う風土があり、堅実かつ無借金経営を続けてきたからだと思っています」。

 2代目として常に考えているのは、時流に沿ったチャレンジを続けながら、社員が仕事にやりがいを持ち、仕事を通じて人間的に成長できる会社にすること。「社員数は100人近くになりましたが、年3回は社員一人一人と面談し、仕事やプライベートの夢が達成できているのか聞くようにしています。細かなことは各課の上長に任せていますが、社員の人生プランが目標に向かって進んでいるかを一緒に考えたいからです」。

 いま、どの業界を見ても女性が活躍する会社ほど成長している傾向がある。「当社は4年前から子どもを持つ方を含め、女性を積極的に雇用しています。男性が9割強の頃もありましたが、いま男女比率は半々です。またコンサル会社やアパレル会社、人材派遣、専門商社出身のUIターンで来た者など、女性同様に事業戦略&営業部隊として活躍しています」。

 業務展開上、最も重視するのは他業界からの参入でシェアを奪われるリスクがある中〝看板製作会社の地位向上″だ。「当社の商材であるLEDビジョンの顧客層を見ると、フラッグシップ店や有名なスポットには設置する一方、人気のない場所にはそれほど投資しない二極化構造です。サイン業界が、顧客ニーズを読み取らないといけないと思っています」。

 目指すべき将来像は、付加価値を持たせた製品を、サイン・ディスプレイ業界とリンクさせ、開発・進化させることにある。「大都市上海から人口4万人のこの地に引っ越して感じたことは、製品開発は圧倒的に田舎が有利です。自然豊かな環境下で、UIターンの若者や女性が最先端の技術を駆使してモノづくりをしています。私の夢は地元府中市の人口を10万人まで発展させることです」。