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ふちゅう経済情報『特集 企業の今、これから』に弊社社長が掲載されました

社員一丸となって、スピード対応 転機を生かし、チャンスをつかみ取る

新型コロナウイルス感染症拡大の中、いち早く感染予防対策製品を開発販売。改良を重ね、新たな商品の開発にも着手。コロナ禍をチャンスに変え、順調に亮リ上げを伸ばしている。常に攻めの姿勢を崩さず、社員一丸となって取り組む㈱タテイシ広美社の立石良典社長を取材した。

飛沫感染予防パーテーションとの出合い

 建築関連業界の年度末は、例年、前年の11・12月頃の注文を年度内に納め、新年度に向けて慌ただしい日々を過ごしている。ところが2・3月になっても4月以降の新規注文はなく、恐ろしいくらいに動きが止まった状態。同業者の間では、会社を一旦止めて休業補償の申請をする話でもちきりだった。緊急事態宣言で国や県を挙げて人の動きを止める呼びかけ、日本中、世界中で今まで経験したことがない不安が広がり、府中市も例外ではなかった。立石社長は「正直、会社を一時たたんで休業補償の申請をすることに心が動いた」と話す。
 そんな時だった。2月末、知り合いから「アクリル板でパーテーションを作れるか」という電話がはいる。立石社長は「今では普通に使われている言葉『飛沫感染予防・パーテーション』ですが、当時はそんなものが今後必要になるとは考えもせず、デザインも加工もしないで透明なアクリル板のまま商品にすることに違和感すらもった」と話す。
 信頻している方からの依頼であること、そして同社の理念は『お客様の繁栄を考え、地域・社会に貢献することが、我社の繁栄につながる』。お客様が必要とされている製品ならばと、製作を開始。「その時、すぐにこの製品の可能性を感じた」と振り返る。この素早い対応には理由があった。3月末、東京オリンピックの延期が決定、同社はオリンピック関連の仕事を多数抱えていた。アクリル板などの材料はすでに買い付けてあり、30人近い雇用も確保、そして十分な時間もあった。それが感染予防対策製品製造に全て転用することができたのである。そして、それは思いもよらない大きなマーケットだった。

強みを生かしスピード対応

 15種類以上の試作を重ね、わずか1週間で販売にこぎつけた。製造のキャパを超えないような仕様、価格と利益、検討を重ねながら製品づくりを進めた。販売を開始するとロコミで広がり、北は北海道から南は沖縄まで全国から問い合わせが殺到した。その際の返信は基本15分以内に、1枚からの受注でオーダーメイド、2日間で納品。受注から製造・出荷・設置までワンストップで請け負う同社ならではのスピード感が功を奏した。忙しい時で22時間稼働、毎日200件の商品を間違いなく発送する作業を続け、3月から6月までに約4万枚を売り上げた。お客様の声を生かし改良に改良を重ね、現在では、医療関係からスーパー、飲食店、一般企業まで、多数の問い合わせがあり、使う人、場所、シーンに応じて何種類もの製品がある。

現場の声を大切にした商品開発

 その後も、現場の声に耳を傾け、お客様の困っていること、必要なものをと開発を続けた。設置が簡単な自立用スタンドとセットになった『フィルムパーテーション』。病院などで「扉の取っ手を触りたくない」という声に応えた『扉開閉用足ハンドル』。扉の形状に応じたオーダーメイド、コの字型とT字型がある。大きな荷物を運ぶ宅配業者にも喜ばれているそうだ。センサーによる体温測定と顔認識システムを利用した、マスク着用チェックを自動で行う『高速自動検温システム』は災害時の避難所や病院、学校など公共の施設などから問い合わせがある。『発熱外来モニター』は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザのツインデミック、他の熱疾患などが懸念される冬に向かい、需要が増えるのではないだろうか。冬本番を前に、北海道や東北地方など寒冷地からの問い合わせが増加している。

社員に寄り添い、結果を出せる環境づくり

 同社では社員間、社長や上司との連絡にスマホアプリを利用。特に営業担当者は外回りが多いため出勤、退社時間はさまざまだ。そしてコロナ禍でその働き方はより柔軟になったそうだ。在宅での勤務や取引先との打ち合わせはリモートも多く、先方のアプリに合わせて行う。働く環境を自分で整え、モチベーションを上げて結果を出す。コロナ禍の中、東京出張組が帰ってきた時は、会社が福山のホテルを用意し14日間滞在後に帰宅、家族への感染予防に取り組んだ。何事にもおいても対応の早さと柔軟さ、発想の転換や自由なアイデアが強みだ。
 今後、新型コロナウイルス感染症との共存が続く限り、感染予防対策製品は同社の主力商品になるだろう。また、同商品で繋がった新規顧客から、従来の仕事の問い合わせも増えている。東京オリンピックに向けての動きも再開、デジタルサイネージ、LEDパネルなどの最先端の製品開発も顕著だ。コロナ禍で得た新しい商材と共に、最新技術でのモノづくり、そして柔軟な働き方、スピード感とチャレンジを恐れない社風が新しい道を開いている。