お知らせ

広島県共済情報誌「あんしん」冬号
『広島のひととなり』に弊社会長が掲載されました

学校と企業が連携して 地域の子どもたちを育てる


中小企業にできることを模索し続けて

 若い人たちが笑顔であいさつをしてくれる事務所を抜けると、ひと際ニコニコと大らかな笑顔に迎えられました。府中市で看板をはじめ多様な情報伝達業を手がける「タティシ広美社」の会長・立石克昭さんです。
「大阪の看板屋で修業後、地元で創業したのですが、初めは仕事があまりなくて妻と二人でベランダのペンキ塗りをしていました。あるとき気になって妻に『後海していないか』と聞くと「この仕事すごく楽しい」と言うんですね。涙が出るほど感激して、ああ仕事は楽しまなきゃいけないんだと気づかされました。それは今でも私の経営哲学の芯です」。
 人を雇い始めてからは定着率の低さにも悩みますが、あるセミナーで「経営者の一番大事な仕事は社員に夢を与えること」と知り、ガラリと方向転換。「やりがいを持って働けるよう社員目線の職場づくりを進めたら、だんだん社員が辞めなくなったんです。変わったねえと社員と話していたら、『変わったのは社長ですよ』と逆に言われました。中小企業は社長が変わらないと何も変わらないんですね」。
 バブルが崩壊した90年代には看板業の売上が大幅ダウン。大手電機メーカーの電光掲示板をオーダーメイドで提供する新事業に乗り出しますが、ここでもビジネスは難航します。しかし発想の転換や粘り腰の交渉でピンチをチャンスに変え、大きな柱へと成長させていきました。今では全国に納入実績も広げ、防災などにも貢献しています。
 立石さんが近年力を注いでいるのは、住民が学校運営に参加するコミュニティ・スクールの活動です。府中市では小・中学10校で実施されており、立石さんはその連絡協議会会長を務めています。
「活動の一つとして、地元企業を知ってもらい、将来地域で活躍する人材を育てるために、生徒たちによる模擬会社の設立や職場体験を行っています。生徒たちは模擬会社を立ち上げ、地元企業で職場体験し、自ら商品開発・試作・販売に挑戦するのです。実際に黒板消し、積み木など5つの商品を開発し、受注生産で販売します。私も授業では理念を持つことの大切さやマーケティングについて説明しました」。
 このように地域、学校、企業が連携したまちづくりにおいて府中市は“先進地”。自ら道を切り拓いてきた立石さんだからこそ、説得力のある言葉で子どもたちに語りかけることもできるのでしよう。その歩みは、地元で活躍したい若者たちにとって大いに参考になるはずです。