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読売新聞『ひろしま県民情報』に掲載されました

若者の移住へ魅力発信 タテイシ広美社(府中市)

 2004年の上下町との合併時に4万5000人を超えていた人口が、現在、4万人を割り、過疎化に悩む府中市。郷土の未来を危惧した同市河南町の「タテイシ広美社」=立石良典社長(41)。℡0847・43・4886=では、地域の新たな魅力を若い世代に知ってもらい人口流出を防ごうと、社員が一丸となり、Iターン、Uターンの促進や、小・中学生に地元企業の魅力を伝える活動を行っている。山あいにある同社を訪ね、地域振興の取り組みについて取材した。

 同社は、1977年創業。大手スーパーの屋内外看板、競技場や空港などのLED電光表示板をはじめ、映像表示中も建物内から外の様子を見渡せる「メッシュビジョン」などハイテク看板も扱う。看板のデジタル化が進む中、システムエンジニアやデザイナー、設計士といった若者に人気の仕事が増え、社員約50人の平均年齢は30歳代前半だ。近年、IターンやUターンに伴う入社が増えている。

 営業部の早川貴光さん(27)もその1人。東京都板橋区出身で、地方の課題を観光資源として巡る珍しい企画に参加し、府中市を初来訪した時、移住を勧められ、昨年6月に入社した。大学で建築や都市計画を学んだ経験から、同市出口町の古民家を改築して自宅にすることを計画。埃やシロアリなどと格闘しながら、4か月かけて改装し、壁の塗装体験するツアーや完成後の自宅を一般公開する「開放日」などイベントを実施。新たな移住スタイルとして注目された。早川さんは「府中市の人たちは親しみやすく家庭的。みんなでワイワイ楽しく作業ができ、移住してよかった」と笑顔で振り返る。
 
 先代社長で創業者の立石克昭会長(65)は、学校が地域と一体となって子どもを育むコミュニティ・スクール指定校「市立府中明郷学園」(9年制公立義務教育学校)の学校運営協議会長を務める。社員を派遣し同校で英語や経営の特別授業を開講したり、町内会行事を学校と一緒に催したり交流活動を実施し、地域の未来を担う人材養成に取り組む。立石会長は「子どもたちと住民との交流が広がり、不思議と学園から不登校児がいなくなった。若い人が安心して暮らせる街になれば、定住者は自然と増えるはず」と府中市の発展を願っている。同社の活動の詳細は、ホームページ(http://www.t-kobisha.co.jp)で確認を。