お知らせ

全国信用組合職員様向けの情報紙「月刊 しんくみ」6月号に掲載されました。

月刊 しんくみ 2023.6

以下記事同文

新 しんくみとともに

株式会社タテイシ広美社 × 両備信用組合  全信組合 広島支店

人口3万5千人の町から、最先端でクリエイティブなものづくりに挑む

株式会社タテイシ広美社が本社を構える広島県府中市は、広島県東部(備後地方)に所在する人口3万5千人の小さな町です。同社は、そんな小さな町で、東京の大手企業などを相手に、全国の誰もが知る有名施設や世界的な国際イベントの看板・デジタルサイネージを手掛けるなど、業界の第一線で活躍しています。今回は、看板やデジタルサイネージなどにより情報をかたちにする「情報伝達業」として、業界の第一線で活躍する同社の創業者立石克昭会長と2017年に2代目として社長に就任した立石良典代表取締役社長にお話を伺いました。

〇貴社について教えてください。

昭和52年に看板業として創業し、現在は「情報伝達業」として、“情報をかたちにすることを目的とする”という経営理念を掲げ、時代の変化、お客様のニーズや技術進化に合わせて、看板やデジタルサイネージなどを自社開発・製作しております。

 弊社は、お客様からの看板の製作依頼やデジタルサイネージの開発依頼に対し、デザインや建築的な設計、デジタルサイネージであれば、配信システムやソフトウェアの開発といった入り口の部分から、自社工場での製造、全国各地での取り付け施工まで、ワンストップでお客様へサービスを提供できることを強みに近年急成長を遂げております。

 弊社のもう1つの経営理念に「お客様の繁栄を考え、地域・社会へ貢献することが我社の繁栄につながる」があります。元々は、「お客様の繫栄を考えることが我社の繁栄につながる」だったのですが、近江商人の教え「三方よし」を受け、今の経営理念に変更しました。「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という意味で、世間が良くなければ、事業は売り手と買い手だけではうまくいかないという考え方です。この言葉が腹に落ちたため、現在の経営理念となり、地域・社会への貢献に力を入れております。

〇貴社の基本方針「個性ある“いこる良い会社“をつくる」について教えてください。

備後弁では、炭に赤々と火が付いた状態のことを「炭がいこってきたね」と言います。炭火のバーベキューに例えると、いこった炭に皆さん肉や野菜を置きますよね。これがまさにいこるところに人が集まるということです。炭が我々経営者であり、炭の上に乗ってくる肉や野菜が良い人材であったり、良い情報であったり、良い出会いであったりするわけです。いこっている経営者には、必然と良いものが集まってきますが、いこっていない人には中々集まってきません。経営者がいこることにより、社員をいこらし、周りをいこらし、地域をいこらすことができ、会社も良くなり、地域も良くすることができます。

〇地域・社会への貢献を大切にしているとのことですが、具体的にはどのような取り組みを行っているのでしょうか。

 地域の小中一貫校と協力して、地域を愛し、卒業後も地域に根付く子供たちを育成することを目的にコミュニティ・スクールの運営に参画しております。コミュニティ・スクールでは、授業を通し、小学校の低学年に地域のことを教えることに始まり、中学2年生では、模擬会社を設立し、地域の企業と協力して商品開発から販売までを行っております。本取り組みを通して、子供たちに地域の企業のことを知ってもらい、将来の就職先の選択肢にしてもらいたいと考えております。周りの方からは、「ボランティアでよくやっていますね」と言われますが、私は、ボランティアではなく、未来への投資だと思っております。現在、人口減少によりこの地域はどんどん疲弊しております。この地域に企業があり、雇用があることが大事であり、本取り組みを通じ、卒業生が地元で働き、更には自身で会社を設立し、雇用を生み出すことで、今後、この地域が活性化していってほしいと考えております。

〇両備信用組合新市支店に設置した有機薄膜太陽電池を利用したタペストリーについて、どのような製品か教えてください。

 軽量・薄型で曲げられる特性をもつ有機薄膜太陽電池に会社のロゴや広告を印字できるSDGs製品です。屋上に設置する通常の太陽光発電と違い設置しやすく、既存の窓際にあるポスターやタペストリーなどの広告物の代替として設置することができます。有機薄膜太陽電池の特徴は、通常の太陽光発電装置と違い、ベースとなる金属やガラスなどを使用しておらず、両面から光を受けることができます。そのため、店内が営業している間は、店内の光も電力として貯蓄でき、太陽が照っていない時でも使用できる製品となっております。

また、太陽光発電装置に比べ5000分の1の環境負荷しかないという特徴があり、非常に少ないエネルギーで製造でき、簡単に廃棄することができるなど、製造から廃棄までを考えた非常に環境負荷が少ない製品となっております。両備信用組合新市支店では、有機薄膜太陽電池を利用したタペストリーで発電した電力を使用し、店内の検温器・二酸化炭素センサーの動力源として活用しております。両備信用組合に訪れるお客様に見ていただいて、こういった取り組みがあり、製品があるということを知ってもらえるなど、両備信用組合へ導入できてよかったと思っております。

〇有機薄膜太陽電池を利用したタペストリーの開発時のお話をお聞かせください。

 有機薄膜太陽電池を利用したタペストリーは、今まで取引のなかった大手の上場企業2社と共同で開発した製品となります。開発当初、大手2社は、弊社が地方の中小企業であり、わからないことが多いため、私から見ると石橋を叩くように安全を見て開発を進めているように感じました。しかし、弊社に来社いただいた際に、弊社の考え方や製品開発、ワンストップで開発できる体制を見ていただいたところ、順調にプロジェクトが進んでいくようになりました。日本では、上場企業の素晴らしい会社が中小企業の光る技術など、中小企業個々の優れた特徴を把握しきれていないことが課題だと思っております。今回のようなきっかけで、こちらからきっちりアプローチし、しっかり説明したことで、弊社と組めば、新しいビジネスや新しい製品が作れるということに気づいていただけました。地方の中小企業の方には、自社の事業に自信をもち、大手企業と対等な関係を作ることで、新しいビジネスや新しい製品が作れるということを知っていただきたいです。

〇両備信用組合とのお付き合いは、どのように始まったのでしょうか。

 現在は、行政が起業支援を手厚くしておりますが、私が創業した当時は、そのような制度がなかったので手探りで会社を起業しました。両備信用組合とのつながりは、同級生が両備信用組合に勤めていたため、アドバイスをいただいたり、相談に乗っていただいたことが始まりです。この同級生から手ほどきを受けながら、会社も軌道に乗り、両備信用組合との取引が始まりました。両備信用組合の良いところは、地場の顔が見えるつながりがあり、お互いが信用でき、単なる金融機関職員と会社ではなく、一人間としてお付き合いできることだと思います。

〇両備信用組合との記憶に残るエピソードがあれば教えてください。

 昔、両備信用組合の支店長が弊社に相談に来た時の話です。弊社と同業の会社が経営不振で廃業する際に、少しでも資金を残してあげたいという思いから、両備信用組合の支店長が弊社を訪問し、機械などを購入してもらえないかと相談に来られました。支店長が何回も弊社に足を運び、「少しでもその会社の足しになるように」と、身を粉にして働いている姿を見て、これはほかの銀行には絶対にできないと思いました。「なんでそこまでできるんですか」と聞いたところ、「今までお世話になって、この地域で頑張ってこられた会社に、少しでも私のできることをしてあげたいんです」とおっしゃられておりました。これが私の両備信用組合との記憶に残るエピソードです。

〇会社の課題や今後の夢を教えてください。

 世の中の課題と弊社の課題は同じだと思っています。原材料高の問題、脱炭素の問題といった社会的な課題を抱えております。一方で、目の前を見てみると子供が育っていく中で、高校や大学に進学していくうちに、地方から都会に上京してしまい、地元に戻ってこないという課題があります。大学などで都会に上京するけれど、将来は地元に戻って弊社に就職していただけるような魅力的な会社にしていきたいと思います。また、コミュニティ・スクールを通じ、子供たちに地域に戻って働ける場所があるということを伝えていきたいと思います。

本インタビュー記事は”しんくみバンク公式YouTubeチャンネル「しんくみとともに」”とタイアップし、動画でもご覧いただけます

〇企業データ

企業名 株式会社タテイシ広美社

所在地 広島県府中市河南町114

代表者 立石克昭会長

立石良典代表取締役社長

電話番号 0847-43-4886

URL https://t-kobisha.co.jp/